はじめに
Unity 1週間ゲームジャムというゲームイベントに参加しました。
これで3回目の参加になります。
今回のイベントでも自分にとって得るものが多く感じたので、備忘録として、自分の考えを記そうと思います。
unityroom.com
作成したゲーム
「かえす」を最初に聞いたときに頭に浮かんだ単語が「孵す」で、
ファーストインプレッションを大事にしようと、たまごを孵すゲームにすることにしました。
unityroom.com
ゲーム性としては、できるだけ多くのたまごを孵してポイントを稼ぐゲームです。
たまごが台座に配置されると、自動でゲージが減少し、0になった時に卵が孵ります。
たまごには属性があり、たまごが設置される、台座の属性によって孵る速度が変わります。
下のスペルペインから使いたいスペルを選び、台座にドラッグアンドドロップすることで属性が切り替わります。
タイミングを見て台座の属性を切り替えて、孵る速度を上げていくゲーム性です。
また、ちょうど次のたまごが台座にセットされる際に、そのたまごの属性と台座の属性が一致していれば、追加でボーナスが入ります。
台座に配置されているたまごの属性を見ながら切り替えるのと同時に、つぎにどの台座にどのたまごが配置されるかを見極めるように作りにしようとしました。
意識した点
今回は次の二つを意識しました。
- 期限内に完成させる
- デザインや演出を凝ったものにする
期限内に完成させる
今回は長期休みでの参加だったため、期間内に完成させることを意識し、実際にそれを達成できました。
なかなか凝ったことはできないので、落ちものパズルゲームの体を持つゲームを作ることにしました。
理由としては、最低限ブロックのロジックさえ組んでしまえば、ステージを作るなどをしなくても、ゲームとして成立するためです。
似たようなプログラムは以前に作っていたことがあり、それを流用できたことで、時間を少なくできました。
デザインに力を入れる
以前の作品から、絵作りに課題を感じていたので、今回はデザインに力を入れようと思っていました。
今回の制作期間は長期休暇で比較的時間が取りやすかったのもあり、今までのゲームよりもデザインに時間をかけることができました。
デザインパターンや配色を考えるうえでは、以下の書籍を参考にしました(めちゃくちゃ勉強になる書籍でした!)。
www.sbcr.jp
デザイン本を読んでみて、こういうデザイン見たことあるな~と思っても、それがなかなか頭に沁みついていないことに気づかされました。
すなわち、デザインを自分の技術として落とし込むようにインプットしていないので、いざというときに引き出せないのだなと思いました。
リファレンスとしてこの種の本を持っておけば、デザインを自分の手に馴染ませることができるようになるのかなと思ったところでした。
反省した点
今回は三つの反省すべき点を見つけたので、今後制作をするうえで、意識していこうと思いました。
- 内容の被り
- ゲーム性
- デザインの一貫性
内容の被り
制作中から、薄々そうなるだろうなと思っていたことではありましたが、たまごを孵すゲームがめちゃくちゃあって、埋もれてしまいました。
実際にゲームをしてみればどのゲームも違う着眼点で制作されているので違いはあるのですが、タイトルやサムネイルだけでは「これ系ね~」と思わざるを得ないので、もう少しひねればよかったなとも思いました。
ゲームジャムで評価されることだけに特化する必要も無いとは思いますが、「やってみたいかも」と思わせる魅力を出せてなかったことは反省すべきだったと思います。
ゲーム性
ゲーム性として、「慌ただしい状況の中で、いかに冷静に行動できるか?」を狙っていたのですが、思ったよりも慌ただしく、テストプレイを何度かしてみたところ、途中で追いつけなくなることがありました。
素早い「スイッチング操作」をマウスでさせるのは無理があったのかなぁと自己分析しています。マウスではなくボタンで切り替える形式にしておけば。。。
「属性を合わせる」はゲームに慣れている人にはなんとなく想像できるのかなと思うのですが、「たまごが着地するタイミングで、その属性に事前に変えておく」は、なかなかピンとこないゲーム性だったかなと思いました。
もし今回のゲームでこれをするなら、少なくとも、各台座の真上に卵のキューを配置しておく画面配置にしておくべきでした。
また、ルール説明を書いてみて思ったのですが、説明しないといけないことが多く、自分が考えていたよりも複雑なルールになってしまいました。
チュートリアルを設けてみたものの説明が不足していた点も多かったので、ちょっと要素を詰め込みすぎたのかなと思います。
デザインの一貫性
どちらかと言えば「自分でもできそうなデザイン」であることが優先されてしまって、デザインパターンを選択した意図が現れなかったのは課題でした。
本来はやさしげなドットタイプのデザインにしたかったのですが、絶対に描けねぇ~~~とおもい辞めました。
今回妖精にしたのも、自分で絵が描けそうなファンタジーのモンスター=妖精という、苦渋の選択でした。
(ところで、一般的なファンタジーにおける妖精の繁殖形態って卵生?胎生? あまり考えたことがなかった)
自分でも描けるように、できる範囲で練習しようかなと思いました。
ちょうどXで宮本茂さんの話が話題になっていたのもあって、「なんとなく」で選択したことに気恥ずかしさを覚えました。
宮本茂氏がゼルダ開発中に「この石をここに置いたのは誰や?」って尋ねたけど結局誰も名乗りを上げずに怒った、みたいな話が記憶に残ってる。たしか「責任や意図がない」みたいな話だったかな?
— ニカイドウレンジ (@R_Nikaido) 2024年8月24日
それはそれとして、今回のCEDECティアキン講演では石を置いた人が誰か分かるような機能が搭載されてた。 pic.twitter.com/HEDzsPCnap
ちなみに、原典はどこだったのだろうと調べてみたのですが「社長が訊く」のWeb記事でした。
「ゲームのリアリティを出すための勘所」という文脈で出た話で、あくまで世界ではなく舞台を作っているので、すべてをリアルに作り込む必要はないというものでした。
逆に言えば、違和感を生むオブジェクトがあるということはその線引きが出来ていないので、どのような意図で置かれたのかを聞くことで、開発メンバーに見極めの意識をつけたという話なのかなと読み取りました。
宮本 たとえば、そこに石ころがいっぱいあるとしますよね。
そのときに「その石ころが全部動かせる」という描き方もあるんですが、前提として「動かせない石ころもある」ということがお客さんにきちんと伝わっていれば、すべての石ころが動かなくても見逃してもらえるんです。
だから、「全部の石ころが動く」ということよりも、「動くべき石ころが石ころらしくきちんと動く」ということのほうがずっと大事で、そういうところをどこで線引きしていくかというのが「ゲームの中の世界を作る」ということ ...(省略)
青沼 意味もなく置かれている石ころというのは本当にあるんですよ。
宮本 それを見つけては、「どうして置いたの?」と聞くわけです。
岩田 「なんとなく」とか言うんですよね、そういうときって(笑)。
青沼 そうそう。「なんかとりあえず置いてみました」とか(笑)。
宮本 まだ「カッコいいでしょう?」とか言うてくれたほうがスッキリしますよね(笑)。
岩田 「なんとなく」はいちばんダメなんですよ。
今回のゲームジャムの評価方法についての感想
前回は総合評価ランキングと、評価軸ごとのランキングで最終的な評価が示されていたのですが、今回は総合評価の高いゲームがランダムに紹介される?というような形式でした。
個人的にはこっちの方が気が楽で、純粋にイベントを楽しむことができたかなと思います。
まとめ
ここを達成したいという意識を持って臨み、自分としてはそのハードルを越えられたかなと思いました。
一方でゲームデザインに課題があり、統率が取れたデザインにするように、引き出しを増やす必要がありそうだなと感じました。
1週間ゲームジャムに何度か参加して思ったのは、「現在地を確かめる」ができる貴重なイベントだということです。
1週間という少ない時間なので、付け焼刃で成し遂げる力というよりも、どれだけ自由自在に開ける引き出しがあるか?を問われるイベントなのかなと思います。
そういった点では、そもそもゲームを作ったことが無い人にとっては、ゲームを初めて「完成させる」ための動機付けとしての価値があり、
ゲームを作り始めた人にとっては自分の課題を確かめる場であるという点で価値があるように思えます。
そういった意味で、今後も時間があればぜひ参加したいイベントだなと思います。